目次
コースの途中に50mにわたり設置されたLEDディズプレーに、東京の観戦者の姿を表示
820km離れていることによるタイムラグを0.1秒まで縮めた
東京2020 リアルタイムリモート応援プロジェクト 超低遅延通信技術
4Kレベルの映像伝送の通信遅延を片道約20msecまで削減し、距離を超えた空間の共有による新たな競技観戦のかたちを実現
東京2020 リアルタイムリモート応援プロジェクトは、コロナ禍においてアスリートへの応援を直接届けられない人が多くなっている中でも、新たなテクノロジーを活用することで、遠隔地から応援する人々だけでなく、競技会場のアスリート自身が、興奮や感動、会場の一体感を感じることができる世界をめざす取り組みです。マラソンにおいて、秒速5mで駆け抜ける選手へ確実に応援を届ける場合、わずかな遅延が大きな影響を与えます。しかしながら、これまでのリモート観戦では、光の伝搬遅延に加えて、伝送処理遅延や圧縮処理遅延があり、トータルの遅延時間は往復で数秒レベルでした。このため選手へ応援を確実に届けることはできませんでした。SDI信号を通信装置に直収し、非圧縮映像・音声を、光の長距離伝送路にSMPTE ST2110形式で送出可能とする「ディスアグリゲーション構成技術」を用いることで、4K映像の非圧縮映像・音声を、光の長距離伝送路にダイレクトにSMPTE ST2110形式で送出可能となりました。これにより、送信側での映像入力から受信側での映像出力までの遅延を約1msecに抑えた超低遅延伝送を実現することで、東京と札幌の距離遅延を含む片道の遅延時間を約20msecまで削減できています。
東京で応援する人々が選手を追いかける顔の動きもまるで現地にいるかのように伝えるという、まさに距離を超えた空間の共有
両拠点に設置された8台のカメラで映像を収録し、それらの映像を通じて相互の様子をリアルサイズで表示することを可能とする幅約50mのLEDディスプレイを設置。今回複数のディスプレイに表示するために、複数台のカメラからの映像を取り込み、表示領域を切り出した上、各映像を結合・伝送し、受信側で受信した映像を複数のディスプレイ用に分解する処理を行う。この映像処理を、フレーム単位ではなく映像信号レベルで実施する、「超低遅延メディア処理技術」によって、従来の映像処理で必要であったフレーム待ち時間を削減し、低遅延化を実現。