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今年の中秋の名月は、バッチリ見えています (SONY RX10 Mark4で撮影)
中秋の名月とは、旧暦8月15日の十五夜にお月見をするならわし
昔の日本では月の満ち欠けと太陽の動きを基に作られた太陰太陽暦という暦を作り、農業や暮らしに役立てていました。天保暦(いわゆる「旧暦」)です。旧暦では7,8,9月を秋としており、その真ん中の日の8月15日を「中秋」と呼び、またその晩に上がる月のことを「中秋の月」と言っていました。「秋分日(太陽が秋分点を通過する日)以前の、一番近い朔(新月)の日を1日目(旧暦八月一日)として、15日目を中秋とする」と決められます。中秋の名月の別称である十五夜もこの旧暦の頃の名残です。
初秋は台風や雨も多いですが、そのあとは徐々に空気も冷たくなってきて、秋晴れが続きます。空も高くなり、月もきれいに見えるので、中秋の名月と呼ばれるようになったそうです。平安時代、中国から遣唐使によってもたらされた「望月」という月を見る催しが平安貴族に浸透し、観月の宴が催されるようになりました。それが農村を中心に庶民の間で行われていた作物の収穫祭と結びついていきます。豊かな実りの象徴として十五夜を鑑賞し、お供えものをして感謝や祈りを捧げるようになりました。旧暦8月15日は、畑ではお芋の収穫時期でもありました。そのため、お芋をお供えする地域もあり、無事収穫が済んだ感謝の気持ちをこめて「芋名月」と呼んでいます。
2020年の中秋の名月は10月1日 Hunter’s Moon(狩猟月)
月齢は14.7です。満月は10月2日の午前6時なので、少し手前といったところですが、ほぼ丸く見えます。
旧暦9月13日の夜に十三夜というお月見
2020年の十三夜は10月29日です。この十三夜は、十五夜とセットでお祝いすることが良しとされており、どちらか片方しかお祝いしないと「片月見」などとして忌むこととされていました。十五夜は中国をはじめとする台湾や韓国などでも見られますが、この十三夜は日本だけのものなんだそうです。十三夜の別名は「栗名月」「豆名月」で、こちらは栗や枝豆が旬のため、お供物にされるためだそうです。ちなみに、十三夜のお月見を最初に行ったのは平安時代の後醍醐天皇だという説があります。
中秋の名月にお供えする物
お月見といえば「お月見団子」ですが、お月見団子の数は? お月見団子は十五夜には15個、十三夜には13個というのが一番多いようですが、他には1年の満月の数にあわせて12個(うるう年には13個)、15を簡略して5個にする地方もあります。並べ方はピラミッドのようにして、三方(さんぽう)に白い紙を敷き、お供えします。お供えする場所は、お月様が見える床の間に置くのがベスト。
お月見団子は地方によって実は形態が異なります。例えば、京都の出町柳の有名な和菓子屋さん「出町ふたば」さんのお月見団子は、楕円のお団子にあんこがかかったお団子で、里芋を模したものだそうです。
関東以北はあんこ入りのお餅、中国四国地方は串に刺さったお団子です。絵本に出てくるようなお月見団子は実は関東甲信越など一部の地域のみです。