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成田空港検疫所 お粗末な水際対策の実態
入国審査場に進むまでに8カ所の検疫チェックポイント
入国審査場に進むまでに8カ所の検疫チェックポイントをクリアする必要があり、書類に不備があった場合には強制送還されます。(1)フライト出発時刻の72時間以内に受けたPCR検査による陰性証明(2)入国の次の日から起算して14日間は待機先で外出を自粛することや、入国者健康確認センターへの健康状態の報告などを約束させる誓約書(3)機内で配られた健康カード(4)接触確認アプリ「COCOA」、位置情報確認アプリ「OEL」、ビデオ通話アプリ「MySOS」のダウンロード(5)COCOA質問票に回答後表示されたQRコード(6)迎車ハイヤーの自動車登録番号標(ナンバープレート)の番号、車種と運転手の携帯電話番号(7)入国後14日間の待機中に宿泊する施設の予約票と支払い証明書
降機後、検疫検査所に向かう通路に並べられた折り畳み椅子に座って待機 社会的距離が保たれていない
待機場所の指定された椅子と前の椅子との間は社会的距離が保たれていない1メートル未満。1回目のチェックポイントで(1)~(3)の書類確認。2回目のチェックポイントでも書類の確認。3回目のチェックポイントでCOCOA質問票に回答したことを証明するQRコードの提示。4回目、5回目のチェックポイントでも書類の再確認作業。6回目のチェックポイントで健康カードの確認の後、防護服をまとった検疫官から抗原定量検査用の細いシリンダーの上に小さな漏斗が載った容器が手渡され、個別ブース内で容器中の黒い線(1ミリリットル)以上の唾液を採取するよう指示。7回目のチェックポイントでは検体提出時に貼られた健康カード上の検査番号とバーコード、14日間の待機期間中必要なアプリ(OEL、MySOS)が携帯電話にインストールされていることのチェックと合わせ、メールアドレスならびに入国者健康確認センターからの空メール受信の確認。OELからのプッシュ通知は1日に2~3回ランダムに届くが返答は強制ではなく、無理のない範囲で「今ここ!」ボタンを押すように指示。
待機先が虚偽であっても見抜けない チェックポイントには日本人以外も配置
8回目のチェックポイントでは、抗原定量検査結果の待合所内にあるカウンターでパスポートとQRコード、誓約書、健康カードに記入した入国後14日間の待機先または自宅住所と連絡先、空港からの移動手段の確認。しかし、口頭と筆記による自己申告だけで確認書類が求められることは一切なく、待機施設の予約票などを確認しない。これでは、待機先が虚偽であっても確認のしようがない。検疫ブース内の検疫官と、最初と最後のチェックポイントを除き、残り5カ所のチェックポイントで入国・帰国者への説明や書類チェックをしていた職員は、たどたどしい日本語しか話せず、日本人とは思えない。彼らが、書類確認が厳密にできているのか?
「一時隔離・待機場所」は成田空港にはない
抗原定量検査結果受け取った後、予約したハイヤーの迎車時刻までの「一時隔離・待機場所」はなく、迎えの時間まで空港内で自由に過ごせるという信じられない実態。アメリカの場合、ワクチン未接種の人たちやワクチン接種完了後2週間以上経過(自己免疫が構築)していない人の場合は飛行機から降りた後、州兵監視の下、空港内の「待機場所」から隔離施設であるホテルへ強制的に連れていかれ、隔離先へのバスが来るまでの待ち時間中も、空港内での自由行動は許されていない。
日本が行っている「水際対策の防疫強化措置」は、ザルのように目の粗いもの
日本の入国審査ではワクチン接種の有無の確認もなく、14日間の待機期間中の宿泊施設や自宅、そこへ行くまでの(公共交通機関を使わない)交通手段もすべて自己申告だけで済ませ、確認もしない。また、PCR検査に比べ精度が低いとされる抗原定量検査のみで、感染している確率がゼロではない入国・帰国者に空港内での自由行動を許すことは、感染拡大につながる可能性が高いはず。
「やる気」ゼロの入国者フォロー体制
入国翌日の午前11時前後に「【厚生労働省】入国者健康確認センター位置情報アプリOELの使用開始のご案内」と「〈厚生労働省〉健康状態確認のお願い」という表題の2件のメールが届くはずが、OELアプリのセットアップとログインに必要なIDとパスワードが記されたメールが送られてきたのは翌日の午後3時20分と、入国後24時間以上もたってから。
健康状態確認メールはほぼ毎日届くが、現在地報告をするためのプッシュ通知は全く届かない。入国者健康確認センターにメールで問い合わせたところ、待機4日目になって初めてプッシュ通知が届き、その数分後にMySOSのビデオ電話がかかってきた。その際、同センターの担当者から居場所の確認と併せて顔と背景が分かるようビデオをオンにするように要求があったが、相手側は黒背景、顔出しなし。
14日間の待機期間中、ランダムというよりアバウト(いいかげん)なフォローアップ体制。
国内への変異ウイルス流入を防ぐためには1日も早い法整備を ・・・ 国会は閉会
諸外国のように入国・帰国者全員を14日間、政府または自己負担でホテルなどの政府指定検疫施設に強制隔離させるなど、より厳格な対策を講じるべき。