1919年5月29日に観測された日食
皆既日食の継続時間は6分51秒で、1416年5月27日から1937年6月8日までの間で最も長く、20世紀中の皆既日食では5番目に長いものでした。
一般相対性理論を実証した日食
この皆既日食は、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論が正しいことを実証した日食として有名です。一般相対性理論によれば、重力場によって時空がゆがむと、そこを通過する光はそのゆがみに沿って曲がります。これを観測者からみれば、見かけ上光源の位置がずれているように見えます。これは、重力がまるで凸レンズの役目を果たすことから重力レンズ効果と呼ばれています。理屈上は、太陽のすぐそばを掠めるようにやってきた恒星の光も曲げられ、見かけの位置がずれているように見えるはずです。しかし、太陽は極めて明るいため、そばにある恒星を観測するには、太陽が暗くなる皆既日食の時しかありません。理論上、1.75秒というわずかなずれが発生することが予想され、観測の結果、1.61秒というずれが観測されたそうです。