25年前の大彗星 百武彗星(C / 1996 B2)
1996年1月30日、鹿児島県のアマチュア天文家・百武裕司(1950-2002年)さんが、双眼鏡を使った観測によって百武彗星を発見しました。この彗星は発見から約2ヵ月後の3月25日には、地球-太陽間の距離の約10分の1まで地球に接近し、肉眼でもはっきりと畏敬の念を起こさせる光景が確認できるようになりました。1910年のハレー彗星以来の大彗星といわれ、周囲に大きな街などがなく空が暗い場所では、角度にして60度以上という長い彗星の尾を見ることができました。
3/25 百武彗星 地球に1500万kmに接近 肉眼でも驚きの姿
1996年3月25日(月)は、百武彗星の地球最接近の日でした。仕事から帰宅後、札幌から厚田町へ向けて車を走らせていると、国道231号線には車を止めて夜空を見上げる人が多数いました。原因は、大接近した百武彗星でした。その姿、彗星のコマが肉眼で見た満月より大きくはっきり見え、尾は北斗七星を貫いていました。その姿は、何やら不気味さを感じさせるものでした。そして、厚田町に到着して見上げたその姿は、信じられないものでした。北斗七星の近くにある巨大な頭部から、天頂を経て、からす座の方まで実に90度以上の長く太い尾が伸びていました。まさに、天空に掛ける橋の状態でした。そんな大彗星も、光害にまみれた、札幌市内の自宅に戻ると、頭部がわずかに見える程度の見え方でした。