もう本格的な春の到来
ソメイヨシノ 染井吉野は野生種ではない
‘染井吉野’は人がつくった栽培品種です。江戸時代末に生まれたと考えられています。生まれた場所はまだ定説がないですが、母親がエドヒガン、父親がオオシマザクラの種間雑種*であることはわかっています。江戸時代までお花見の対象だったのはヤマザクラというサクラでした。染井吉野’は花が咲いている時期には若葉がのびませんが、ヤマザクラは花といっしょに赤い葉っぱも開きます。それで、明治時代に広まった‘染井吉野’をはじめて見た人たちは、「これこそが理想の桜だ!」と思ったんじゃないかと思います。このころから、日本人にとってサクラが別格の存在になりました。奈良時代はお花見といえばウメでしたし、平安時代からは日本固有の文化を大切にしようということでサクラも楽しまれるようになりましたが、江戸時代まではお花見において、ウメもサクラもあまり変わらない存在だったようです。
陽光桜
サトザクラの天城吉野(アマギヨシノ)と寒緋桜(カンヒザクラ)との交配によりできた桜です。開花時期は3月から4月で、ソメイヨシノよりも少し早く咲きます。一重咲きで、カンヒザクラの紅色が残されています。
オトメツバキ [乙女椿]
椿というと赤や白をイメージしがちですが、乙女椿はふんわりしたピンク色をしています。可憐で可愛らしい花の様子は乙女という名がぴったりです。江戸時代後期には栽培されていた意外と古くからある品種です。寒さには強く、北海道札幌市でも、越冬して5月に花を咲かせています。