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薬用植物でもあるセンダン
果実はしもやけ、樹皮は虫下し、葉は虫除けにするなど、薬用に重宝されました。夏の日の午後は梢にクマゼミが多数止まり、樹液を吸う様子が見られます。アゲハチョウ類もよくやってきます。
高貴な香り
栴檀の香りは、とても甘く高貴な香りを放っています。この香り意を目的に、たくさんの長や虫たちが集まってたくさん受粉させるんですね。通りかかっただけでも良い香りに振り向いてしまうといわれています。栴檀の花の香りは、バニラやチョコレートの香りに似ているといわれています。香水の原料にもなるほどです。
インフルエンザウイルスを不活化する薬効果あり ⇒ コロナウイルスにはどうか??
沖縄県に自生するセンダンの抽出成分が、インフルエンザウイルスを不活化させることが報告されています(論文 : 根路銘国昭、向真一郎「インフルエンザの科学的予防法 ― センダン液でウイルスを殺す」)。コロナウイルスにも効かないものか?
- ウイルス感染症は治療よりもワクチンによる予防が基本的な戦略であるが、その例に漏れず、基本的なインフルエンザ戦略はワクチンによる予防が中心となっている
- 今日ではタミフルに代表される治療薬も利用できるようになってきたが、これはあくまでも治療薬であり、予防薬としては使用できない仕組になっている
- タミフルに加えて、アマンダジン及びリマンダジンも治療薬として認可されているが、この薬に対する耐性ウイルス出現の速度が速く、現実的には有用な治療薬とは言い難い
センダン科植物又はその抽出物は、優れたインフルエンザウイルス殺傷効果を有し、副作用が少ないインフルエンザ予防・治療剤になる可能性を秘めているようです。センダンの成分はヒトや動物の領域に分布するすべてのA及びB型インフルエンザウイルスを殺傷できることが示され、インフルエンザウイルス感染の予防や消毒薬として利用できる可能性が示されたようです。センダンエキスは効果的にウイルスを殺傷する能力を持っていることから、抗インフルエンザ薬として幅広い製品開発に利用できる可能性が高いようです。
論文の検証結果
- ウイルスだけを接種したマウス群は、接種後3日目から体重が急激に減少し肺炎が強く進行していることが示唆されました。その後も体重は減少し続け、7日目におけるマウスの生存率は60%、さらに9日目には40%の生存率となっていました。
- ウイルス感染前にセンダン成分を鼻腔内に吹きつけたマウス群の体重は、全実験期間中にわたって体重の増加は順調に推移し、肺炎の発生は未然に食い止められていることが明らかになりました。マウスの生存率は100%。
- ウイルスとセンダン成分を混合して感染させたマウス群には体重の減少は認められず、センダンの成分によるウイルスの不活化がマウスへの感染が成立させなかったことが明らかになりました。マウスの生存率は100%。
このようなことから、センダン成分に著しいインフルエンザウイルス感染予防効果のあることが確認されています。また、感染病理学的側面から調べてみても、ウイルスとセンダン成分を混合した場合、あるいは感染前にセンダン成分を鼻腔内に吹きつけてからウイルスを感染させたマウスには肺炎所見は見られなかった。ウイルスだけを鼻腔に接種したマウスの肺炎所見は100%の肺面積に広がり、センダン成分で処置したマウス群の肺炎発生が全くなかったこととは対象的な違いを見せたようです。 以上の結果から、センダン成分のインフルエンザウイルス予防効果は極めて有意義なものであると評価されています。センダン成分を含有する抗インフルエンザウイルス剤はすべてのインフルエンザウイルスを殺傷する能力を持っていることが強く示唆され、鼻腔や口から侵入してくるウイルスを直接不活化するので、様々な形のインフルエンザ予防薬の開発に利用できると考えられます。例えば、鼻腔からのインフルエンザ予防用噴霧剤や、インフルエンザ予防用うがい液にも利用できそうです。加えて、家庭用インフルエンザ予防用噴霧液、会社や病院、あるいは駅や養鶏場などの大規模施設などでの消毒薬にも利用できる可能性が十分にあり、センダン成分による抗インフルエンザ物質の利用価値は極めて高いものです。
現在の知見
センダンは、外殻(エンベロープ)を持つウイルスが健康な細胞に吸着する時に働くHA(ヘマルグリチニン)と、細胞内で増殖したウイルスが殻の外に出て離脱すると時に働くNA(ノイラミニダーゼ)という両方のタンパク質を切断する機能があることを解明できています。そのため、同じ外殻を持ち、HAやNAを持つSARSウイルスやコロナウイルスの消毒液としても利用できるのではないかと考えられています。
センダンの蜜を吸いにきた アオスジアゲハ