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落下前に発見できた小惑星はわずか9個のみ
「2024 RW1」と命名された今回の天体は、時速6.27万kmという超高速で地球に接近し、9月5日の午前1時ごろ地球大気圏に突入し、幸いなことにフィリピン上空の大気圏で燃え尽きました。
地球突入への約8時間前、アリゾナ大学の研究チームは「約1メートルサイズの小惑星がまもなく地球に落下する」ことを事前に発見していました。
実は、同サイズの小惑星は2週間に1個のペースで地球に落下していますが、サイズが小さすぎるため事前に発見できたのは、今回を含めて9個しかないのです。
約18メートルを超えるサイズの小惑星でなければ、地表に到達する前に燃え尽きてしまうと考えられています。
過去に起きた天体衝突と、近傍を天体が通過した例
1908年 「ツングースカ大爆発」
1908年には、ロシアのポドカメンナヤ・ツングースカ川上流の上空で「ツングースカ大爆発」が発生しました。直径50m~60mの小天体が大気中で爆発したために、強烈な振動が発生し、爆心地から半径約30~50kmにわたって森林が炎上し、東京都とほぼ同じ面積の約2,150平方kmの範囲の樹木がなぎ倒されたと記録されています。
2013年 ロシアのチェリャビンスク州に隕石が落下
隕石全体の直径は数m~15m、質量は10トン、落下速度は秒速15kmであったと見られています。爆発の規模は500キロトン以上で、広島に落とされた原爆の30倍以上の威力と推定されています。近郊には、8mほどの穴が開いていたり、600kgの隕石が発見されています。
2024年6月29日(土)夜10時 小惑星「2024 MK」地球から29万km付近を時速数千kmで通過
地球と月の距離は約38万kmですので、月よりも近い領域を通過したのです。この小惑星が発見されたのは、わずか2週間前でした。大きさの推定は直径120~260m。
近未来の 地球への小惑星の接近
2029年 小惑星アポフィスが地球に接近
アポフィスは直径340mの小惑星で、東京タワーに相当する高さです。国際宇宙ステーションの高度は400kmのため衝突する心配はありませんが、静止軌道にいる衛星は衝突の危険性があります。もしアポフィスが地球に衝突したとすると、広島の原爆の約3万倍のエネルギーである、500メガトンの爆弾と同等の威力との事です。
NASAでは小惑星撃退技術の研究 「DART」
DARTとは小惑星に体当りして軌道を変更するという、史上初の惑星防衛ミッションです。この実験により、将来地球に衝突する小惑星が現れた時に、地球を守る手段をあらかじめ実証しておくことが目的です。