新型コロナへの対策がインフルエンザの流行の防止に影響を与えた
オーストラリアや南アフリカなど南半球の国々で、この冬、インフルエンザの流行が記録的に低く抑えられたことがわかりました。新型コロナとインフルエンザが同時に流行る、いわゆる「ツインデミック」が心配されていますが、希望となるニュースかもしれません。
「記録的」なインフルエンザの少なさ
グラフは、WHO(世界保健機関)の「Influenza surveillance report」より取得しました。期間は、2019年の3月6日から今年の9月6日までです。
オーストラリア
棒グラフが、インフルエンザ陽性となった検体数。赤の線グラフは陽性率(検体のうち、陽性になったものの割合)です。2019年の7月ごろには大きなピークがあり、流行が起きたことが分かります。ところが今年の7月(というか4月以降)は、ほぼゼロです。
インフルエンザ検査は多く行われているのに、ほとんど検出されていないため、「新型コロナの影響で、症状があっても病院に行かないなどして把握されていない患者がたくさんいるのではないか?」という疑いもありましたが、流行は本当に起きていない可能性が高いと言えそうです。
アフリカ
オーストラリアと同様、今年4月以降はほとんど陽性が出ていません。
チリ
オーストラリアや南アフリカと同じ傾向が見て取れます。
新型コロナウイルス感染症の流行に関連して行われた公衆衛生上の対策や、メッセージを多くの人が守っていることが、インフルエンザを含む急性呼吸器感染症の感染拡大に影響を与えている可能性が高い。
「ツインデミック」
すなわち新型コロナとインフルエンザが同時流行することによって医療機関が大混乱し、失われないで済むはずの命がたくさん失われる事態が心配されています。今回示された南半球の事例からは、「私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けていれば、そんな不幸な事態を防げるかもしれない」という「希望」が示されたと言って良いのではないでしょうか。
・適切なマスク着用
・3密を避ける
・帰宅時などに手を洗う
いま推奨されているこれらの対策を、冬に向けても着実に続けていきましょう。