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食分の大きかった皆既月食 本影のど真ん中を通過 1953年7月26日 食分1.8628
但し、通常の条件での皆既月食では、本影のど真ん中でも、肉眼では見えないくらいに暗くなりません。
非常に大きな火山活動があり、火山灰や火山噴出ガスが成層圏(地上約15km以上)にまで達すると、大気中に火山灰や噴出ガスから生成される小さなチリが長い間浮かんで漂います。
このような条件のときに皆既月食がおこると、大気中のチリによって、大気を通り抜けられる光が少なくなり、皆既中の月が暗くなります。
最近の食分の大きかった月食
2000年7月16日に起こった皆既月食で、食分は1.7684という非常に深い皆既月食でした。この時は地球から遠い位置で月食となったために月の動きが遅くなり、皆既継続時間が1時間47分にもおよびました。これは日本では141年ぶりという長いものでした。
今後見られる食分の大きな月食
2047年7月7日 1.7513
2094年6月28日 1.8234
1953年の食分に近いものとしては、2340年4月13日 1.8576
日本で見られないものですが、2756年6月5日 1.8821
5月の満月「フラワームーン」 皆既月食中の明るさ
日本時間5月16日の昼ごろ、月が地球の影に隠される皆既月食が起こり、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどで見られました。月が欠け始める部分食の開始は11時28分、月が地球の影に完全に入ってしまう皆既食は12時29分から13時54分まで、部分食が終わるのは14時55分。
トンガ噴火の影響はほとんど無いようでした。
5月16日、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどで皆既月食 (日本時間12時29分から13時54分まで)
日本では昼間の現象で月が地平線の下にあるので、全く見えませんが、インターネットライブ中継で、皆既中の月の明るさに注目しましょう。トンガ噴火の影響があるでしょうか。
通常の皆既月食では、ダンジョンスケール" 3 " が多いですが、トンガ噴火の影響があれば" 2 " くらいかもしれません。
大気混濁係数
大気中のエーロゾル、水蒸気、オゾン、二酸化炭素などの吸収・散乱による日射の減衰を表す指標で、値が大きいほど減衰が大きいことを示します。
1982年12月30日の皆既月食は皆既中にほとんど見えず
通常の皆既月食ですと、皆既中は赤胴色で見えます。ところが、非常に大きな火山活動があったあとには、しばしば皆既月食中の月が暗く黒っぽく見えることがあります。火山灰や火山噴出ガスが成層圏(地上約15km以上)にまで達するような大きな火山活動が起こると、大気中に火山灰や噴出ガスから生成される小さなチリが長い間浮かんで漂います。このチリによって、大気を通り抜けられる光が少なくなるため、皆既中の月が暗くなると考えられています。1982年12月30日に起こった皆既月食は皆既中、真っ暗になり月がほとんど見られませんでした。望遠鏡で見ても赤い色は見えず、灰色だったという記憶が残っています。これは1982年春に噴火したメキシコのエルチチョン火山の火山灰等が成層圏に達し、影響をおよぼしたためと考えられています。
1993年6月4日の皆既月食もかなり暗いものでした
こちらの場合は、1991年6月、フィリピンにあるピナツボ火山が大噴火を起こし、長く漂った火山灰等の影響が2年後にまで残ったためと推測されています。エル・チチョンは標高1350mの無名の火山でしたが,このときの噴火で160名もの犠牲者を出し、世に知られることになりました。多量の噴煙は高さ38kmにまで吹き上げられ,噴煙が達した高さに関して言えば,この噴火は過去70年間で最大のものでした。噴煙は,成層圏の風に乗って赤道から北緯30度あたりまでの上空をリング状に取り巻き,噴火から約3ヶ月後の7月6日にアメリカ大陸で起こった月食を異常に暗いものにしました。この頃の夕焼けや朝焼けがやけに赤かったことも印象的でした。それが、噴火から9ヶ月近くも経った12月の月食にまで影響を及ぼしました。
皆既中の月面の明るさの指標
ダンジョンスケールというものがあり、皆既中の色と明るさを肉眼で見て判定します。
0 きわめて暗い。肉眼でほとんど見えない。 ---------- 1982年12月30日の皆既月食
1 暗い。灰色・褐色。表面模様の識別が困難。--------- 1993年6月4日の皆既月食
2 暗赤色・錆色。本影付近かなり暗い。
3 レンガ色。本影縁は明灰色・黄色。
4 明るい。赤銅色・オレンジ色。本影・半影の境界域が青みがかる。