ブレイン・フォグ(脳の霧)
新型コロナに感染し、治癒したにもかかわらず、体の違和感を「後遺症」として訴える元患者が、世界中で後を絶たないようです。女性のほうが、新型コロナウイルス感染症による後遺症を訴える傾向が強いそうですし、高齢者や感染初期に発熱や咳・味覚を失うなどの症状を経験した患者も、後遺症のリスクが高いということです。頭に霧がかかったように物事が思い出せなくなることから『ブレイン・フォグ(脳の霧)』と呼ばれる症状も、後遺症の1つです。具体的には、記憶力や集中力の低下、倦怠感やめまい、日常的な言葉を理解する能力の低下などの認知症状を指します。新型コロナに感染し、記憶を失ったという事例もあるそうです。
新型コロナ感染症にかかった人の脳は、最高で10歳も老化
新型コロナウイルスは脳にも感染し「深刻な脳障害を起こす恐れがある」という報告があります。髄膜炎や脳炎、意識障害のほか、記憶障害が出る人もおり、後遺症が心配されます。原因については、新型コロナのウイルスに対する体の免疫反応によって、脳につながる血管が炎症を起こすからではないかとみられていますが、いまのところまだはっきりしていません。
ワクチンの落とし穴
12月2日、イギリスは先進国で初めて米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンを承認しました。米国やEUもこれに続く予定で、日本政府もこのワクチンを来年6月までに6000万人分用意する予定です。ワクチンは、弱毒化もしくは無毒化した抗原を体内に取り込むことで、あらかじめ抗体を作り出し、ウイルスなどの感染を防いだり、感染した場合の重症化を防いだりします。ただし現在、世界で承認されつつあるコロナワクチンは、これまでのワクチンとは異なる点があります。生ワクチンやインフルエンザなどで使われている不活化ワクチンは弱毒化、不活化したウイルスそのものを身体に打ち込みます。一方、ファイザーのコロナワクチンはRNAワクチン、アストラゼネカはベクターワクチンと呼ばれ、ウイルス成分を身体に打ち込むわけではありません。簡単にいえば、ウイルスの設計図を打ち込んで、身体にウイルスと似た構造のたんぱく質を作らせて免疫反応を呼び起こさせようとするものです。従来のワクチンは工場でウイルスやその成分を作るため、時間もコストもかかり、大量生産は難しいのですが、RNAワクチンは合成装置という機械だけで製造でき、コストやスピードの面で圧倒的に有利ではあります。RNAワクチンはいままで人類に対して承認されたことのない、まったく新しいワクチンです。本来はすぐに分解されるはずの遺伝子情報が残って、5年後、10年後に未知の副反応が出てくる懸念もあります。この懸念はどのメーカーも払拭できていないのです。そもそも、あらゆるワクチンに副反応はつきものです。例えば、ワクチンを接種した場所が腫れたり、痛んだりするのも副反応の一種で、これはほぼ避けられません。もっとも、いずれ腫れは引くものなので、これは心配する必要がないものです。問題は、より深刻な副反応です。アナフィラキシー(全身に起こるアレルギー反応で痒くなったり、呼吸困難になったりする)、脳症・脳炎、ギラン・バレー症候群(全身の筋力低下、嚥下力低下、呼吸困難)などが挙げられます。仮にアメリカで1億人打ったとしたら、さまざまな副反応のデータも集まるでしょうから、その時点で、打つか打たないか判断しても遅くないと思われます。