深夜で太陽光変動がなかったのも奏功
2月13日深夜に発生した福島県沖地震では、東京電力パワーグリッド(PG)エリアの停電被害が周波数低下リレー(UFR)によって最小限に食い止められました。東電PGは、時間の変化に伴う周波数変化の割合で作動する「df/dt機能」付きのUFR装置を整備しており、被害の拡大防止に貢献したようです。地震発生のタイミングが深夜だったため、太陽光発電の逆潮などによる周波数変動がなかった点もプラスに働きました。
東電PGは「df/dt機能」付きのUFRを全面導入しており、これが今回のような670万キロワットに及ぶ大規模な電源脱落でも停電被害を最小化する要因になりました。「df/dt機能」付きのUFRは、電源脱落の規模が多ければ早期に負荷遮断を行う。東電PGによると「最速でコンマ数秒の遮断が可能」で、周波数低下に伴う波及的な被害を抑えるのに役立ちます。この機能がないUFRは、周波数変動を最低限許容する整定値を超えると、一定の時間で順次負荷を遮断していきます。このタイプは周波数が急速に低下する大規模電源脱落に対応することができず、北海道のブラックアウト(エリア全域での大規模停電)では、被害拡大の一因にもなりました。
福島県沖地震は深夜の発生だったため、系統内の周波数はきれいな状態でした。太陽光などによる周波数変動が大きい昼間だと、今回の停電規模では抑さえ込めない可能性がありました。
地震発生直後、6つの発電所が安全のためストップ
地震の直後、火力発電所6ヶ所が、設備の安全確保のため緊急停止しました。地震などの大きな揺れが生じた時には、発電所を停止させなければ、タービンなどの設備が傷つき、復旧に長期間かかるおそれがあるためです。場合によっては、復旧まで数ヶ月~1年程度かかる恐れもあります。通常、震度5程度の揺れであれば緊急停止することはないのですが、今回は揺れが非常に大きかったため、自動停止の機能がはたらきました。停止したのは、下記の表にある福島県・宮城県の太平洋沿岸の火力発電所です。