細胞表面から出芽する新型コロナウイルス

生活関連

新型コロナウイルスについて 現時点で分かっていること

これまでにヒトに感染するコロナウイルスは4種類知られており、かぜの原因の10~15%を占める原因ウイルスとして知られていました。またイヌやネコ、ブタなど動物に感染するコロナウイルスも存在します。2002年中国広東省に端を発したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、コウモリ(あるいはハクビシン)のコロナウイルスがヒトに感染し、ヒト-ヒト感染を起こすことで8000人を超える感染者を出しました。また2012年には中東でMERS(中東呼吸器症候群)が報告され、ヒトコブラクダからヒトに感染する感染症であることが分かりました。そして2019年12月末から中国の湖北省武漢市で発生した原因不明の肺炎は、新型のコロナウイルス(SARS-CoV-2)が原因であることが判明しました。新型コロナウイルスの宿主動物は2020年4月時点ではまだ分かっていません。しかし、新型コロナウイルスはコウモリの持つコロナウイルスに遺伝子学的に近縁であることが分かっています。コウモリが新型コロナウイルスの元々の宿主である可能性は高いと考えられますが、コウモリから直接ヒトに感染したのか、あるいは他の中間宿主が存在し、その中間宿主からの感染が起こったのかは不明です。新型コロナウイルスは動物から人に感染し、さらに人から人に感染しうることが分かっています。

感染してから約4日(最大14日)後に風邪のような症状が出現します。風邪のような症状とは、微熱を含む発熱、咳、ノドの痛みなどです。その他にも頭痛、だるさ、関節痛・筋肉痛などの症状がみられることがあります。このように、新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザによく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。特に重症化する事例では、発症から1週間前後で肺炎の症状(咳・痰・呼吸困難など)が強くなってくることが分かってきました。つまり、発症してから1週間程度は風邪のような軽微な症状が続き、約2割弱と考えられる重症化する人はそこから徐々に悪化して入院に至るというわけです。もう一つの特徴として、嗅覚障害・味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきました。イタリアからの報告によると新型コロナ患者59人のうち、20人(33.9%)で嗅覚異常または味覚異常がみられたとのことです。特に若年者、女性ではこれらの症状がみられる頻度が高いようです。ただの風邪や副鼻腔炎、花粉症が原因で嗅覚異常・味覚障害が起きることもあるので「嗅覚障害・味覚障害=新型コロナ」ではありませんが、だらだらと続く風邪症状に加えてこれらの症状があれば新型コロナの可能性は高くなるでしょう。

中国の4万人の感染者の解析によれば、患者の8割は重症化に至らず治癒するようです。数日~1週間以降に2割弱の患者では、肺炎の症状が増強し入院に至ることがあります。約5%の症例で集中治療が必要になりICUに入室し、2-3%の事例で致命的になりうるとされています。

新型コロナウイルス感染症の確定診断にはPCR検査が用いられています。PCR検査とは、ウイルスの遺伝子を検出する検査です。新型コロナウイルス感染症の患者ではノドや痰の中に新型コロナウイルスが存在するため、鼻咽頭を拭ったり痰を採取したりして、その検体の中のウイルスの有無を検査します。ウイルスの遺伝子が少数であっても検出できるため、一般的に感染症の検査の中では検出力の高い検査とされます。しかし、新型コロナウイルス感染症の患者でも鼻咽頭を拭った検体での陽性率は約6割とされています。つまり10回検査をしても4回は陰性と出てしまいます(偽陰性)。また、全く症状がない人や、確定患者との接触歴や海外渡航歴のない人など、元々新型コロナウイルス感染症が疑わしくない人にPCR検査をしても偽陽性(本当は新型コロナウイルス感染症ではないのに陽性と出てしまうこと)が多くなります。PCR検査は絶対的なものではなく、検査の使い方をよく吟味し、結果を正しく解釈できる必要があります。

新型コロナウイルス感染症に有効な薬はまだありません。レムデシビル、ロピナビル/リトナビル(カレトラ)、ファビピラビル(アビガン)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)などが治療薬の候補として、臨床研究や適応外使用という形で国内外で使用されていますが、明らかな有効性が確認されたものはまだありません。これらの薬剤は治療効果がある「かもしれない」というものであり、これらを使うことで新型コロナウイルス感染症が治ることを保証するものではありません。治療効果があるのか、そして安全性についても問題がないか現時点では分からないため、それを検証するために今後臨床試験が行われるわけです。また、新型コロナウイルス感染症は治療薬を使用しなくてもほとんどの方が自然に治癒する感染症ですので、これらの薬剤は特に基礎疾患のある方や高齢者など重症化するリスクの高い方、あるいは重症の患者さんを対象として使用されるべきものです。

ということで、今の時点で新型コロナウイルス感染症に対して確実に有効であると言えるのは感染予防です。咳やくしゃみなどの飛沫から感染することから、これらの症状のある人は周りの人にうつさないようにマスクの着用など咳エチケットを心がけましょう。また手など触ったところからウイルスが広がり感染する可能性もあるため、こまめな手洗いを行うようにしましょう。

新型コロナウイルスは、人の細胞に入り込み、増殖して細胞を破壊すると、写真のように出芽し、他の細胞にまた入り込みます。なんとも恐ろしいですね。

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