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オールトの雲の彗星は、太陽系形成初期の物質がそのまま凍結保存されているサンプル
今後、ベルナージネリ・バーンスティーン彗星を詳しく観測することで、オールトの雲に含まれる彗星の大きさの分布や、地球質量の20倍とも推定されているオールトの雲の総質量についても手がかりを得ることができ、太陽系の進化にオールトの雲がどのような役割を果たしたかを理解することにつながるかもしれません。これまでの彗星核の最大記録は、2002年に発見されたリニア彗星(C/2002 VQ94)で、直径約96kmでした。
現在、ベルナージネリ・バーンスティーン彗星は太陽から約28億kmの距離にあり、太陽系の軌道面にほぼ垂直な長楕円軌道で太陽に近づいています。この距離では彗星核の表面温度は-210℃ほどにしかなりませんが、それでも一酸化炭素が昇華して塵の多い「コマ」を作り出しています。
C/2014 UN271 Bernardinelli-Bernstein(バーナーディネッリ-バーンスティーン)彗星
彗星核のサイズは数百m~数十km程度のものが多く、たとえば有名な「ハレー彗星」の彗星核は最大約15km、「ヘール・ボップ彗星」は約50~60km、とされています。今回発見された彗星は、彗星核のサイズがハレー彗星のおよそ10倍、ヘール・ボップ彗星と比べても2倍以上の直径100~200kmと大きく、一般的な彗星と比べて1000倍も重いと推定されています。2021年6月の時点では太陽から約20天文単位(おおよそ太陽から天王星までの距離)のところにきています。エリダヌス座のアケルナルの近くにいて、20.1等級です。
2031年1月23日に太陽に最接近しますが・・・残念なことに
巨大な彗星ですが、太陽に最接近する2031年1月末で、10.93AU(土星軌道付近)までしか近づかないため、明るくは見えないのです(16.9等級)。ただ、欧州宇宙機関(ESA)が2029年に打ち上げを計画する長周期彗星観測計画Comet Interceptor(コメット・インターセプター)計画のターゲットになりそうです。
オールトの雲から飛来
2014 UN271の遠日点距離は14278.89506982491 AU(天文単位)。およそ2兆キロメートルになります。公転周期は約60万4000年で、200年以上の公転周期を持つ長周期彗星の中でも非常に長いものです。