始まりは国策
旧日本国有鉄道を解体したときにできた、東日本、東海、西日本のJR各社は、完全民営化が完了し、いまでは、立派な上場企業ですが、JR北海道、JR九州、JR四国は"JR三島会社"と呼ばれ、依然として、収支の均衡すら実現できない状態です。
その収支のギャップをうめるのが、経営安定基金の仕組みのはずでした。JR三島会社の経営安定基金は、会社発足時に、営業収支が合っていない部分、つまり赤字になる部分を、資産運用収益で埋め合わせる目的で創設された基金です。金額は、JR北海道6822億円、JR九州3877億円、JR四国2082億円です。合計すると、1兆2781億円という膨大なものです。実際のところ、現在でも、3社の鉄道事業の営業収支は赤字であって、この経営安定基金からの運用収益で、かろうじて経営を維持しているというのが、実状です。
貸借対照表の総額に対する経営安定基金の額を見ると、JR北海道とJR四国では、70%近くであり、JR九州では約40%となっています。
JR北海道とJR四国の場合は、経営安定基金からの運用収益が、ちょうど、鉄道事業の営業損失を埋め合わせるかたちになっています。主として鉄道事業で構成される単体の数字を見ると、JR北海道は、ここ数年、250億円前後の営業赤字を続けています。それに対して、経営安定基金の運用収益は、240億円程度で推移していて、ちょうど営業損失を埋めています。JR四国も似たようなもので、こちらは、90億円くらいの営業赤字がでているのですが、経営安定基金の運用収益のほうも80億円くらいあって、相殺する状態を続けています。