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日本には50種類ほどのホタルが生息
日本にはゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルに加えクロイワボタルやキイロスジボタル、オキナワスジボタルなどおよそ50種類生息しています。そのうち、成虫がよく発光するのは14種類と言われています。明滅周期は気温 20℃での発光周期です。
1.ゲンジボタル
日本固有の種であり、大型で、光も強いので、昔から最も知られていて、生息地とともに全国で10個所が国の天然記念物に指定されています。体長はオスは14㎜前後、メスは18㎜前後で、発光の明滅周期は西日本では2秒、東日本では4秒程度です。流れのある水辺環境に生息しています。
2.ヘイケボタル
九州から北海道、さらには東シベリアや韓国にも分布し、湿地や水田を取り巻く流れの無い水辺環境にたくさん生息していることから、これも昔から一般によく知られています。体長はオス10㎜、メス12㎜、発光の明滅周期は1秒です。
3.ヒメボタル
日本列島でしか見られない、日本固有の陸生ホタルです。本州、四国、九州などの比較的標高が高い地域に生息しており、森のなかで見られることから、“森のホタル”と呼ばれています。姿はヘイケボタルによく似ていますので間違え易いですが、体長は6~11㎜とやや小さく、目が大きく、胸の黒い模様は逆三角形をしています。発光は、約1秒ごとに規則的に閃光を放ちます。(周期が0.5秒のものもいます。)
ホタルの復活活動の際に、注意すべき遺伝子の問題
同種のホタルであっても、地域ごとに発光パターンや生態が異なることがあり、遺伝子も固有であることが明らかになっています。そのことから地域固有のホタルの遺伝子を保存することが、ホタルの種の保存を確保する上で欠かせない要件になっています。そのため、やたら遠方からホタルの幼虫を、無配慮に持ってきて養殖放流することは厳に慎まねばならないと言われています。
ゲンジボタル移入例① 長野県辰野町松尾峡
関西からゲンジボタルを移入した松尾峡では短周期型となっています。辰野町では,周辺地域のゲンジボタルの生息状況を把握することなく,観光優先で県外からの移入に頼ってしまいました。松尾峡周辺地域のゲンジボタルを採集して増やすのは苦労だから,業者を通じて外来種ゲンジボタルを移入してしまったのです。この移入により、貴重な在来ゲンジボタルを保護することなく滅ぼしてしまったのです。
ゲンジボタル移入例② 長野県上高地 環境省が上高地の蛍を駆除する方向で検討
上高地には、蛍の幼虫のエサとなるカワニナが生息していませんでしたから、蛍は生息していませんでした。ところが、2000年頃から突然姿を現しました。DNA解析では長野県内の蛍でない事が分かっていて、人為的持ち込みに間違いありません。事実、棲息場所は上高地温泉ホテル周辺のホテル街からの温泉水の流れ出しの池に限られています(周辺から流れ込む温泉で水温が20℃近くに保たれている)。幸い、上高地を流れる川の水温は年間を通じて極めて低く蛍は絶対に棲息できないので、現在の池から拡散する可能性は低いと考えられています。
志賀高原 石の湯の蛍
標高1600mで日本一高い所にいるという事で2008年に国の天然記念物に指定されています。志賀高原で蛍が生きていけるのは上高地と同じく25度の温泉が流れ込んでいるためです。志賀高原の蛍も人為的持ち込みの外来種トム思われますが、人為的持ち込みは明治時代より前の時代であり、国立公園法(現:自然公園法)などが出来るより前に既に蛍が入っていたため、上高地とは扱いが違うようです。
日本一のゲンジボタル という観光資源 最盛期の7月中旬~8月中旬には幻想的な光の舞と降り注ぐような満点の星空が楽しめる
志賀高原 石の湯ホテルが提供する「ホタル観賞特別プラン」では、予約グループごとに「ホタル図鑑」「星座図鑑」「星座盤」「虫かご&虫取り網」が貸し出しされます。ディナーは18時からで、食事後にホタル観賞や星空観賞をしやすいスケジュールとなっています。