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2022年1月に噴火した、南半球のトンガにある海底火山、フンガトンガ・フンガハアパイ火山を超える
過去1万年で世界最大の噴火が起きた場所
鹿児島市から南へ約100kmの海底にある鬼界カルデラ。鬼界カルデラは、東西約20km、南北約17kmの楕円形状に海底が陥没しています。カルデラの最深部は水深約600m。カルデラの縁を外輪山と呼び、鬼界カルデラの外輪山は一部が海面から出ています。それが、薩摩硫黄島と竹島です。薩摩硫黄島は現在も活動している活火山で、主峰の硫黄岳からはいつも噴煙が上がっています。
7300年前の鬼界カルデラ噴火による火砕流と火山灰の到達域
7300年前の噴火では、火砕流が海をわたり、鹿児島県南部の薩摩半島や大隅半島を襲い、600〜900年間、照葉樹林が回復しなかったという調査報告があります。大きな津波が発生した痕跡もあります。7300年前というと、縄文時代に当たります。九州南部の広範囲にわたって縄文人たちの生活を壊滅させたと考えられます。さらに火山灰が成層圏に達し、偏西風に運ばれて東北地方南部にもセンチメートル単位で降り積もったことが確認されています。
主に陸上に降り積もった火山灰の調査から、7300年前の鬼界カルデラの噴出物の体積は、マグマ量に換算すると80立方キロメートルと推定されています。これは、20世紀最大級のフィリピン・ピナツボ山の噴火(5立方キロメートル)の16倍です。
鬼界カルデラの海域にはかつて富士山を小ぶりにしたような成層火山があり、それを吹き飛ばすほどの巨大なカルデラ噴火が起きたとかんがえられています。そして、成層火山をつくっていた、かたい安山岩の一部は陥没できずに残り、カルデラ壁になったのです。